部下に頼みごとをしようとして、have と make のどちらを使うか迷い、言葉が止まる。
どちらも「〜させる」と訳されると習ったはずなのに、その場でどちらか選べない。
とっさに選べず、あとで正解を確認し直した人もいるはずです。
have・make・let はどれも「〜させる」と訳されますが、強さの違いではありません。相手がその行為を望んでいるかどうかの違いです。
「have」の使い方・特徴
「have」は「〜してもらう」「〜させる」ときに使いますが、依頼や業務上の指示など、比較的穏やかな使役です。
上司が部下に仕事を頼んだり、誰かにサービスを受けるような場面で使われます。自発的な行動を促す感じもあります。
【例文】
- I had my assistant book the tickets.
アシスタントにチケットを予約してもらいました。 - She had the mechanic check her car.
彼女は整備士に車を点検してもらった。 - We had the room cleaned before the meeting.
会議の前に部屋を掃除してもらった。
「make」の使い方・特徴
「make」は「強制的に〜させる」という意味で、相手の意思に関係なく行動させるニュアンスです。
命令的・強制的に感じられる場面でよく使われます。力関係がある印象です。
【例文】
- The teacher made us write an essay.
先生は私たちに作文を書かせた。 - They made him apologize.
彼らは彼に謝らせた。 - The movie made me cry.
その映画は私を泣かせた。
「let」の使い方・特徴
「let」は「〜させてあげる」「〜するのを許す」といった意味で、相手の自由意志を尊重する表現です。
相手が何かしたいと思っていることを、許可・容認するイメージです。
【例文】
- My parents let me stay out late.
両親は私が遅くまで外にいるのを許してくれた。 - Let him go.
彼を行かせてあげて。 - She let the children play outside.
彼女は子どもたちを外で遊ばせた。
「have」「make」「let」によく使われるパターン(+動詞の原形)
これら3語の後には、人+動詞の原形が続くのが基本パターンです。ただし、「have」は受動的な意味を出すときに過去分詞を取ることもあります。
【例文(すべて和訳付き)】
- I had him fix my computer.
彼にパソコンを修理してもらった。 - She made me clean the kitchen.
彼女は私に台所を掃除させた。 - They let us enter the club.
彼らは私たちがクラブに入るのを許した。
用法比較表
| 観点 | have | make | let |
|---|---|---|---|
| 定義 | 誰かに〜してもらう | 強制的に〜させる | 許可して〜させる |
| 主な意味 | 依頼・指示 | 強制・影響 | 許可・容認 |
| よく使う文脈 | ビジネス・サービス | 命令・影響 | 子育て・許可 |
| 使用頻度や印象 | 丁寧で穏やか | 強くて命令的 | 優しく柔らかい |
| 例 | I had him help me. | She made me cry. | He let me drive. |
「have」「make」「let」の後に続く語(使われる語の例)
使用シーン:ビジネスでの依頼や指示
職場での仕事の依頼、業務的な使役には「have」が自然です。
- The manager had the team prepare the report.
マネージャーはチームに報告書を準備させた。 - We had the IT staff install new software.
IT担当に新しいソフトをインストールしてもらった。 - I had my assistant call the client.
アシスタントにクライアントに電話させた。
使用シーン:感情や行動を強制・誘導するとき
「make」は強制的な影響や感情変化を表すときに使います。
- The news made me angry.
そのニュースは私を怒らせた。 - She made him tell the truth.
彼女は彼に本当のことを言わせた。 - The teacher made the students redo the test.
先生は生徒にテストをやり直させた。
使用シーン:子どもやペットなどへの許可
「let」は自由にさせてあげるような、親しみある場面で使われます。
- I let my dog sleep on the bed.
犬をベッドで寝かせてあげた。 - She let her son play video games.
彼女は息子にゲームをさせた。 - Let the kids decide.
子どもたちに決めさせてあげなさい。
3語は、強さの順に並んでいない
make → have → let を「強い順」と覚えると、実務で外します。have は make の弱い版ではありません。
分かれ目は、その行為が相手の役割の内側にあるかどうかです。
- I had my hair cut.(美容師に切ってもらった)
- I made him cut my hair.(無理やり切らせた)
前者に強制はありません。相手の仕事だから頼んだだけです。後者は、相手の役割の外にあることをさせています。
「させる」という訳が、役割の話を消してしまう
日本語の「〜させる」は、上から下への動きだけを表します。だから3語とも「させる」と訳すと、残るのは強さの差だけになります。
実際に分かれているのは、こちらです。
- have|相手の役割の内側。頼めば普通にやってもらえる
- make|相手の意志に反する。相手はやりたくない
- let|相手がやりたい。こちらが止めていたのを外す
let が「許可」になるのは、相手側にすでに意志があるからです。強さの軸では、ここが説明できません。
実務で使うのは have、避けるのは make
ここからはGEARの判断です。仕事で使う使役は、ほぼ have で足ります。
- 依頼はすべて have。I’ll have the team check the numbers.
- make を使うと、相手が嫌がっているのに強いた、という含みが残る
- let は許可の場面で。Let me know. のように定型でも出る
相手が普通にやることを頼むのに make を使うと、依頼ではなく強制の描写になります。関係の見え方が変わってしまいます。
まとめ|相手の意志がどこにあるか
- have|相手の役割の内側。依頼・指示
- make|相手の意志に反する。強制
- let|相手にすでに意志がある。許可
強さで並べず、相手がそれを望んでいるかで選びます。望んでいるなら let、役割として当然なら have、望んでいないのにさせるなら make です。実務では have を既定にして構いません。make が要る場面は、そう多くありません。
強制の度合いという観点では、法助動詞も同じ軸で並びます。must・should・had better の差は法助動詞(Modal Verb)の種類と使い方、ニュアンスの違いで扱っています。
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