「a」と「the」の使い分けに悩む。
その投げやりな気持ちに、覚えがある人は多いはずです。
a と the が決まらないのは、覚えた規則が足りないからではありません。判断の基準を「モノそのもの」ではなく「相手との共通認識」に置き換えていないからです。
「a」と「the」は、文法用語で『冠詞』といいます。日本語には無い概念のため、初級から中級のあいだずっと引っかかる人が多い部分です。
今はたくさん間違えてもいいので、まずは「a」なのか「the」なのかを自分で考えて使ってみましょう。使っているうちに、だんだんと感覚がつかめるようになります。
この記事では、「a」と「the」を使い分けるコツを2つに絞って整理します。
「a」と「the」を簡単に使い分けるコツ
コツは2つです。
- みんなが同じモノを思い浮かべるモノには、いつも「the」を使う
- 話の最初に出てくるモノには「a」、2回目以降には「the」を使う
「a」と「the」の使い分けは、ほとんどがこの2つのどちらかに当てはまります。具体例を見ていきます。
みんなが同じモノを浮かべるモノには、いつも「the」を使う
質問です。次の3つを思い浮かべてみましょう。
- 太陽
- ホワイトハウス
- トランペットの音
このとき頭に浮かぶ絵は、誰にとっても共通したひとつのモノのはずです。
誰しもが思い浮かべる太陽は、空に浮かんでいる「あの太陽」ひとつしかありません。ホワイトハウスも、アメリカのワシントンDCにある「あのホワイトハウス」ひとつです。トランペットの音も、Jazzyに響く「あのトランペットの音」として共通しています。
思い浮かべるモノが、ひとつの共通したモノを指している場合、英語ではいつも「the」を使います。
- the Sun
- the White House
- play the trumpet
似たような考え方で、「a」を使うケースも判断できます。今度は次の3つを思い浮かべてみましょう。
- 町
- 白い家
- 車
今度はどうでしょうか。
世界にはいろんな町があるので、人それぞれ思い浮かべる町は違います。白い家も、形や大きさが違うものがたくさんあるので、思い浮かべるものは人によって変わります。車も同じで、色や形が違う車がいろいろあります。
同じ名前でも異なる種類のモノがたくさんある場合には、英語では「a」を使います。
- a city
- a white house
- a car
みんなの共通認識のモノには「the」。アレかコレか分からない、いろいろな種類が思い浮かぶモノには「a」。
みんなが同じモノを思い浮かべる=共通認識
太陽のように、この世にひとつだけの存在に「the」を使うのは分かりやすいですが、実際の会話ではもう少し込み入っています。
次の2つの場面を考えてみましょう。
- 同じ部屋にいる母親に、「Open ● the window.(窓を開けて。)」と言われる。
- 夕食の準備ができた母親に、「Sit down at ● table.(食卓について。)」と言われる。
同じ部屋にいる母親が「窓を開けて」と言ったのは、車の窓でも教室の窓でもありません。「どの窓?」と聞かなくても、部屋の窓だということは、会話をしている二人の共通認識です。
食卓についても同じです。「夕食の準備ができた」という文脈があるので、「どの食卓?」と聞かなくても、おうちのダイニングにある食卓だと二人とも分かっています。
言い換えると、もしこの場面で第三者が「どの窓?」「どのテーブル?」と尋ねたとしても、二人が指すモノはひとつしかありません。
対象が限定されるときに「the」が使われます。聞き手や読み手が同じモノを思い浮かべるなら「the」、モノを限定するには情報が足りないなら「a」。この基準で判断できます。
話の最初に出てくるモノには「a」、2回目以降は「the」を使う
自分が短いストーリーを話すときに効くコツがもう一つあります。話の最初に出てくるモノには「a」を使い、そのモノについて話す2回目以降は「the」を使うという考え方です。
例えば、友達にこんな話をするとします。
(昨日スーパーに行ったら、大きなカバンを持った女性がいた。)
The supermarket was very crowded.
(そのスーパーはすごく混んでいた。)
I happened to see that the woman suddenly put a snack into the big bag.
(たまたま、その女性がその大きなカバンにスナック菓子を入れたのを見てしまった。)
I’m sure she stole the snack.
(スナック菓子を盗んだに違いない。)
supermarket・woman・big bag・snack。4つの名詞が出てきますが、どれも初めて登場したときは「a」、2回目以降は「the」になっています。
これも、友達との『共通認識』で説明がつきます。初出の段階では、友達との共通認識が何も無いので、「どのsupermarket?」「どのwoman?」かは友達には分かりません。だから冠詞は「a」になります。
「昨日スーパーに行ったら、大きなカバンを持った女性がいた」と話したことで、「昨日行ったsupermarketのこと」「そこにいたwomanのこと」という共通認識ができました。共通認識があるモノについて話しているので、2回目以降は「the」になります。
スナック菓子も同じ流れです。最初に出てきた時点では、スーパーに並んでいるスナック菓子のひとつにすぎず限定できないので「a」。2回目以降は「女性がカバンに入れたお菓子」と限定できているので「the」です。
まとめ
「a」と「the」の使い分けは、コツは2つだけです。
- みんなが同じモノを思い浮かべられるものには、いつも「the」を使う
- 話の最初に出てくるモノには「a」、2回目以降は「the」を使う
どちらも、判断の軸は「話をしている相手との共通認識」です。モノそのものの性質ではなく、相手と自分がどこまで同じ絵を共有できているかで決まります。
今日から、英語を話すときや英文を読むときに、この2点を意識しながら「a」と「the」に目を向けてみましょう。気づきが積み重なると、それが学びに変わっていきます。
冠詞の感覚をもう一歩進めたい場合は、【an amount of と the amount of の違い】完全攻略もあわせて読むとつながります。同じ「a」と「the」の対立が、量を表す表現でどう働くかを扱っています。

