ディクテーションのやり方|書き取り・答え合わせから次の練習へ進む5ステップ

リスニング

英語を書き取ってスクリプトと比べると、抜けていた単語が分かります。ただ、正しい文に書き直しただけでは、次に何を練習すればよいかまでは見えないことがあります。

ディクテーションは、音声を聞いて、その言葉を書き取る練習です。書けなかった部分は、聞き直す場所を選ぶ手がかりになります。ただ、同じ空欄でも、音が分からなかったのか、聞こえた語のつづりが出てこなかったのかは違います。そこを確かめると、答え合わせのあとに試すことを選べます。

この記事では、音声と全文スクリプトのある教材を使い、全体を聞く、短く書き取る、照合する、必要な部分を練習する、もう一度確かめる、という5ステップを紹介します。答え合わせのあとに残すのは、正解だけでなく「どこで、何が分からなかったか」です。

書き取れなかった理由は、答え合わせのあとに確かめる

知っている単語が空欄になっていても、すぐに音声変化の問題とは決まりません。実際の音と覚えていた発音が違うこともあれば、文が長くて、書くまで覚えておけなかったこともあります。単語は聞こえていたのに、つづりだけが出てこない場合もあります。

だから、スクリプトとの差を見つけたら、その部分を短く聞き直し、文字があれば分かるのか、意味は分かるのかを確かめます。同じ空欄でも、必要なのが音の確認か、語句の意味の確認かで、次の練習は変わります。

また、全部書けることと、話の内容を理解できることは分けて見たいところです。会議の時刻を変更する会話なら、時刻の語を拾えたかだけでなく、どれが提案で、どれが決まった予定なのかも確かめてみましょう。

音声・スクリプト・メモを用意する

音声を止めたり戻したりでき、全文スクリプトで照合できる教材を選びます。見本には、British Councilの無料教材Changing a meeting time(会議時刻を変更する会話)を使います。同じページに音声プレーヤーと「Transcript」があり、開くと全文を読めます。

全体は約1分48秒ですが、最初から全部を書き取る必要はありません。今回は、冒頭でLucyとAnnaが1回ずつ話すところを使ってみましょう。教材の表示はA2(Pre-intermediate)ですが、この表示だけで自分のレベルを判定するわけではありません。

用意するのは、紙とペン、または入力用のメモです。スクリプトは最初は閉じておきます。すでにこの会話を知っている場合も手順の練習には使えますが、初めての音声を聞き取れるかを見る材料にはしないでください。

ディクテーションのやり方|5ステップで進める

STEP 1 全体を聞き、何の話かをメモする

まずはスクリプトを見ずに、音声を1回通して聞いてみましょう。ここでは書き取りをせず、何を相談している会話なのか、日本語で短くメモします。必要なら、もう1回聞いてみてください。

全体を先に聞くのは、あとで短い部分を取り出しても、その言葉が何についての発言かを見失わないためです。今回は、予定について話していると分かれば、そこを出発点にできます。

全体がほとんど分からなくても、その結果だけで教材を捨てる必要はありません。次のステップでは冒頭だけを試します。照合しても知らない語や分からない文ばかりなら、より短く、文字で意味を確認しやすい教材へ変えてみましょう。

STEP 2 短い部分を止めながら書き取る

冒頭のやり取りを聞き、1人の短い発話ごとに止めて、聞こえた言葉を書いてみてください。長ければ、1つの質問や返答として意味が取れる、さらに短い部分に区切ります。

こうした意味のまとまりを「チャンク」と呼びます。単語を必ず同じ個数に分けるという意味ではありません。今回の冒頭なら、会議について話すという意味を持つ「to talk about the meeting」が1つのまとまりです。単語1個ずつに切らず、何について話すのかを一緒に受け取れる部分として取り出します。長すぎて覚えておけなければ、まず短くし、最後に前後をつなげて聞きます。

聞き直しは、まず同じ部分を2〜3回試すくらいで区切ってみましょう。まだ書けないところは空欄にし、聞こえた音だけをカタカナなどで残しても構いません。この回数は正解に到達する条件ではなく、同じところで粘り続けないための区切りです。

数字は数字のままでも大丈夫です。つづりに迷ったところには別の印を付け、音が分からなかった空欄と分けておくと、照合したあとに確かめやすくなります。

STEP 3 スクリプトと比べ、違いの理由を確かめる

ここでTranscriptを開き、自分のメモと比べます。抜けた語、別の語として書いたところ、つづりだけ違ったところを分けて印を付けてみましょう。

そのあと、気になった1か所を選んで追加の確認をします。正しい文を写す前に、自分のメモを残しておくと、最初は何が分からなかったかを振り返れます。

  • 文字を見れば意味は分かるか。分からなければ、その語句や文を調べる
  • 文字を見ながら短く聞くと、どの音がどの語に当たるか分かるか
  • 書く代わりに声で言えるか。言えるのに書けないなら、つづりも確認する
  • 短くすると拾えるのに、長い発話では抜けるか。区切る長さを変えて比べる

声で言うことにも発音の負担はあります。言えなかったという結果だけで、音が聞こえていなかったとは決めません。何をすると分かるようになったかまで見て、次の練習を選びます。

STEP 4 確認したいところだけを練習する

文字では知っているのに音では見つからなかった語なら、文字を見ながら短く聞き、音のどこがその語に当たるかを確かめます。分かったら文字を隠して、もう一度聞いてみましょう。

声に出すと確かめやすい場合は、音声のあとに続けて言ってみてください。文字を見ながら音声と同時に言う方法は、オーバーラッピングです。ただし、モデルと完全に同じ発音になるまで繰り返すことを、この練習の終了条件にはしません。最後は文字を隠して聞き、前に拾えなかった語を拾えるか確かめます。

語句や文の意味が分からなかったなら、先に意味を調べ、会話の中で何を言っているのかを確認します。そのうえで聞き直し、音を聞いたときにも意味が取れるか試してみましょう。つづりだけの違いなら、音のルールを増やす前に、その語の書き方を確認します。

短くすると分かる場合は、まずその長さで聞き、内容をメモします。それから前後の発話をつなげて、同じ意味が取れるか試してみてください。単語を拾えても会話の結論が分からなければ、書く量を増やすより、提案と返答の関係を確かめるほうから始めます。

STEP 5 スクリプトを閉じて、前回と比べる

練習した短い部分を、スクリプトなしでもう一度聞いてみましょう。前に空欄だった語を拾えたか、別の語に聞こえていたところがどう変わったかをメモします。少し時間を置いたあとや翌日にも、同じ確認を試せます。

同じ音声で書けるようになったことは、前回との違いとして残せます。ただ、内容を覚えて答えられた可能性もあるので、それだけで初めての音声も聞き取れるようになったとは判断しません。

次は、同じ教材サイトなどから、長さや難しさが近い別の音声を選んでみましょう。「練習した音声ではできたこと」と「初めての音声でもできたこと」を別に記録すると、次に練習する範囲を決めやすくなります。

会議の会話で、書き取り後の確認を試してみる

ここからは、見本の冒頭に出てくるAnnaの発話を使った照合例です。先に自分で試したい場合は、音声を聞いてメモしてから読んでみてください。

Annaは「Sure. We said 11, didn’t we?」と言っています。会議の時刻を11時と話していたことを、相手に確かめる発言です。

仮に、最初のメモでsaidに当たるところが空欄だったとします。これは練習例であって、まだ原因を決めた状態ではありません。次のように確かめてみましょう。

  • saidの意味が分からないなら、sayの過去形だと確認し、何を話していたのかを読む
  • 文字では分かるなら、その短い発話を文字と音声で照合し、saidがどこにあるか確かめる
  • 短く聞くとsaidと言えるのに、メモのつづりだけ違うなら、その書き方を直す

音と文字の対応が分かってからスクリプトを隠して聞くと、「正解を写せた」から「この部分を音で見つけられた」へ確認を進められます。まだ分からないなら、もう少し短くして照合してみてください。

さらに会話全体では、元の11時から、最終的に9時へ変更されます。途中には別の時刻も出てきます。時刻の語を書けたかとは別に、「元の予定/変更案/決まった予定」を日本語で説明できるかも試してみましょう。

語は拾えたのに決定が分からなければ、スクリプトで提案と返答を確認し、そのやり取りをセットで聞き直します。会話の関係が分からないまま、時刻の単語だけを書き直し続けないためです。

1回の練習時間と、効果を見る目安

最初は、短い発話1〜2個を使い、書き取り・照合・聞き直しまでで10〜15分くらいを予定してみてください。これはGEARからの始め方の提案で、最適な時間や上達に必要な量を決める数字ではありません。全体を最初に聞く時間や、後日もう一度確かめる時間は別に取ります。

時間内に終わらなければ、同じ音声を全部やり切るより、扱う部分を減らしてみましょう。短くても、書き取りから意味と音の確認まで進めた1か所があれば、次に比較する材料を残せます。

効果を見るときは、何か月続けたかだけでなく、次のような違いを残します。

  • 文字を見ないと分からなかった語を、文字なしで拾えた
  • 短く区切ったときだけ分かった部分を、前後をつなげても理解できた
  • 初めての音声でも、似た表現を拾い、会話の意味を確認できた

同じ時間取り組んでも、最初に難しかった箇所や、使う教材は人によって違います。同じ音源の変化が見えてきたら、初めての音源でも試してみましょう。まだ変わらないところは、次の確認へ戻す材料にできます。

変化が見えないときは、回数を増やす前に戻る

書き取りを続けても空欄が減らないときは、まずその箇所の意味を文字で確認してみてください。意味が曖昧なままなら、STEP 3へ戻り、語句や文を調べます。

意味は分かるのに音と文字が結びつかないなら、STEP 4で扱う部分を短くします。短くすると分かるのに、発話全体では抜けるなら、少しずつ長さを戻してみましょう。つづりだけが難しい場合は、聞こえた音のメモも併用できます。

どこへ戻ればよいか迷う場合は、英語が聞き取れない原因を探す、音源での4つの確認で、文字・停止・前後のつながりを加えたときの違いを比べてみてください。

音と文字を対応させるところを詳しく練習したい場合は、読めば分かるのに聞き取れないときの、音声知覚の練習へ進めます。全部の発音ルールを先に覚えるより、今分からなかった部分を確かめるために使ってみてください。

正しい文だけでなく、次に確かめることを残す

ディクテーションのあとに空欄の数だけが残ると、もっと書くしかないように感じることがあります。でも、「文字を見たら意味は分かった」「短く聞くと拾えた」まで残せれば、次に試す練習は具体的になります。

正しい語を書き足したあとに、何をすると分かるようになったのかもメモしてみてください。「短くすれば聞こえた」なら、次は少し長くして確かめられます。空欄だった1か所が、次の音声で試したいことに変わります。

音源と文字を照合しても、どこをどう直すか決められない場合は、リスニングが伸びないときの独学・サービス選びで、どんな助けを人に求めたいかを考えてみてください。今の練習を調整するか、具体的なフィードバックを受けるかを選ぶための判断材料を紹介しています。

タイトルとURLをコピーしました