英語の音声を使って練習しようとすると、シャドーイングとリピーティングのどちらを選べばよいのか迷います。どちらも聞いた英語を口に出すため、名前以外の違いが見えにくいからです。
違うのは、声を出すタイミングだけではありません。シャドーイングは流れる音声を聞きながら追い、リピーティングは音声をいったん止め、聞いた英語を短く保ってから再現します。うまくできないときに何が起きているかも、それぞれ異なります。
どちらから始めるかは、同じ一文を「止めて言う」「止めずに追う」の順で試すと判断できます。この記事では、その判定方法と、つまずき方に合う練習の選び方を説明します。
シャドーイングとリピーティングは、声を出すタイミングが違う
シャドーイングは、流れている英語を聞きながら、少し遅れて同じ音を口に出す練習です。音声は止めません。次の音を聞きながら、直前の音を発音し続けます。
リピーティングは、英語を一度聞き終えてから、音声が止まっている間に同じ言葉を口に出す練習です。聞く時間と話す時間が分かれています。
たとえば、音声が “I need to reschedule the meeting.” と話したとします。
- シャドーイング:音声が先へ進んでいる間に、すぐ後ろから同じ文を追います。
- リピーティング:文または短い語のまとまりを最後まで聞き、音声が止まってから言い直します。
ここでいう短い語のまとまりとは、意味が一つにまとまる数語のことです。たとえば “reschedule the meeting” なら、「会議の日程を変更する」という一つの内容を表します。長い文を一息で覚えるのではなく、このまとまりごとに聞いて再現します。
| 比較する点 | シャドーイング | リピーティング |
|---|---|---|
| 声を出す時点 | 音声が流れている間 | 音声が止まったあと |
| 止めるか | 止めずに追う | 文や語のまとまりごとに止める |
| 主に見える課題 | 連続する音をすぐ処理して発音できるか | 聞いた音を区切り、短く保持して再現できるか |
| つまずいたとき | 途中から音声に置いていかれる | 前半が消える、語順が変わる、聞いた語が抜ける |
どちらから始めるかは、短い音声を止めて判定する
選ぶために、長期間試す必要はありません。スクリプトのある、意味を理解できる短い音声を一つ用意します。最初は次の順で試します。
- 一文を聞き、文末で音声を止めます。
- 聞こえたとおりに、同じ英文を声に出します。
- 言えたら、今度は音声を止めずに少し遅れて追います。
音声を止めても同じ文を言えないなら、リピーティングから始める
文末まで聞いたあとに、前半が消える、語順が入れ替わる、単語がいくつも抜ける。この場合は、連続音声を追う前に、聞いた英語を短く保持して再現する練習が必要です。
一文では長ければ、“I need to” と “reschedule the meeting” のように、意味がまとまるところで短く切ります。短いまとまりなら再現できる長さを見つけ、少しずつ伸ばします。
大切なのは、正解の英文を見て暗唱しないことです。先に音を聞き、声に出したあとでスクリプトと比べます。どの語が消えたかが見えれば、次に聞く場所も決まります。
止めれば言えるのに、流れたままだと崩れるならシャドーイングへ進む
音声を止めれば一文を再現できるのに、止めずに追うと途中から遅れる。この場合は、聞くことと発音することを同時に続ける処理が追いついていません。
ここでシャドーイングを使います。すでに一度リピーティングできた音源なら、知らない単語や文の意味に邪魔されにくく、流れる音を処理することに集中できます。
それでも追えないときは、速さだけを落として回数を増やす前に、スクリプトを見ながら音声変化や区切りを確認します。シャドーイングの具体的な進め方は、シャドーイングのやり方完全ガイドで5段階に分けています。
リピーティングができても、内容が残らない場合がある
一字一句は繰り返せるのに、「いま何の話だったか」と聞かれると答えられないことがあります。これは、音の再現には成功していても、内容を保つ処理まで届いていない状態です。
この場合、リピーティングを長くするだけでは、単語を覚える勝負になりがちです。聞いた内容を理解し、自分の言葉で英語のまま言い直すリプロダクションへ目的を変えます。
リピーティングは、聞いた言葉をできるだけ同じ形で再現します。リプロダクションは、表現が多少変わっても、聞いた内容を保って言い直します。この違いと始め方は、英語のリプロダクションとは|シャドーイングとの違いと、サイトトランスレーションの使い分けで確認できます。
シャドーイングのほうが優れているわけではない
音声を止めずに行うシャドーイングのほうが難しく見えるため、「できるだけ早く移ったほうがよい」と考えたくなります。しかし、負荷が高い練習が、そのまま効果の高い練習になるわけではありません。
日本人大学生73名を対象に4か月間行われたリピーティングとシャドーイングの比較研究では、両方のグループでリスニング力が伸び、その伸びに有意差はありませんでした。一方、英語の音を語やまとまりに区切る課題では、リピーティング群だけに有意な向上が確認されています。
一つの研究だけで、すべての学習者に同じ結果が出るとは言えません。ただ、「リピーティングはシャドーイング前の代用品にすぎない」と扱う根拠もありません。今つまずいている処理に合わせて使い分けるほうが自然です。
迷ったら、リピーティングで確認してからシャドーイングへ進む
同じ音源で両方を行うなら、まず音声を止めてリピーティングし、そのあと止めずにシャドーイングします。この順番なら、失敗したときに原因を分けられます。
- 止めても再現できない:音の区切り、聞き取り、短い保持をリピーティングで確認する。
- 止めれば再現できるが、流れると遅れる:シャドーイングで連続処理を練習する。
- どちらもできるが内容が残らない:再現ではなく、意味を保つ練習へ移る。
シャドーイングについていけなかったからといって、耳が悪いと決める必要はありません。音声を止めたときに何が残るかを見るだけで、練習を変えるべき場所が分かります。まずは同じ一文を「止めて言う」「止めずに追う」の順で試してみてください。
