来週の定例、司会をお願いします。
そう言われて、返事に詰まる。
参加するだけなら、なんとかなっていた。
でも、進行となると話が別だ。
「始めますの一言すら、出てこない」
心当たりはありませんか?
司会ができないのは、英語力が足りないからではありません。進行の英語は、意見を言う英語とは別の型だからです。
そして進行役の言葉は、ほぼ決まっています。型を持っていれば、その場で考える必要はありません。
進行は、7つの場面でできている
会議の司会がやることは、いつも同じ順番で並びます。
| 場面 | 使う型 |
| 始める | Let’s get started. |
| 流れを示す | First, we’ll go over the numbers. Then, we’ll discuss the schedule. |
| 発言を振る | What are your thoughts on this, Kenji? |
| 話を戻す | Let’s come back to the main topic. |
| 時間を管理する | We have about five minutes left. |
| 決定を確認する | So, we’ve agreed to postpone the launch. |
| 締める | Thanks, everyone. I’ll send out the notes today. |
この7つを順に押さえれば、会議は最後まで回ります。以下、それぞれの言い方を足していきます。
始める・流れを示す
定刻になったら、全員がそろっていなくても始めます。
- Let’s get started.(始めましょう)
- Shall we begin?(始めてもよろしいでしょうか)
- Thanks for joining today.(本日はお集まりいただきありがとうございます)
- We have three items on the agenda today.(本日の議題は3つです)
「では始めます」を直訳して Now I start. とは言いません。進行役は I ではなく Let’s や We で話します。会議は自分ではなく全員のもの、という前提が言葉に出ます。
発言を振る
ここが司会のいちばんの仕事です。名前を先に呼ぶと、相手が構える時間を作れます。
- Kenji, what are your thoughts on this?(ケンジさん、この件どう思いますか)
- Would you like to add anything?(何か補足はありますか)
- Let’s hear from the sales team.(営業チームから聞きましょう)
- Does anyone have a different view?(違う意見の方はいますか)
How about you? でも通じますが、雑に響くことがあります。What are your thoughts on this? のほうが、意見を求めている姿勢が伝わります。
最後の一文は、議論が一方向に流れたときに使います。反対意見を出しやすくするのも進行役の役割です。
脱線を戻す・保留にする
実務で最も価値が出るのがこの場面です。決まった言い方があります。
- Let’s come back to the main topic.(本題に戻りましょう)
- Let’s park that for now.(それは一旦保留にしましょう)
- Can we take that offline?(それは別途、個別に話しませんか)
- I’d like to keep us on track.(進行を戻したいと思います)
park と take offline は、英語の会議で頻繁に使われる言い回しです。どちらも「否定せずに、いま扱わない」と伝えられます。相手の話を切っている印象になりません。
時間を管理する
残り時間を口に出すのは、司会にしかできない仕事です。
- We have about five minutes left.(残り5分ほどです)
- Let’s move on to the next item.(次の議題に移りましょう)
- We’re running a bit behind.(少し押しています)
- Can we wrap this up in two minutes?(あと2分でまとめられますか)
割り込む・確認する
司会は、必要なら人の話に入ります。前置きを1つ置けば失礼になりません。
- Sorry to interrupt, but we’re short on time.(すみません、時間が押しているので)
- Can I jump in here?(ここで一言いいですか)
- Just to confirm, you mean the March deadline?(確認ですが、3月の期限のことですね)
- So, to summarize, we’ll go with option B.(まとめると、案Bで進めるということですね)
確認と要約は、聞き取りに自信がないときほど効きます。自分の理解を口に出せば、間違っていればその場で直してもらえます。
締める|決めたことと担当を残す
終わり方で、会議の価値が変わります。
- So, we’ve agreed to postpone the launch to May.(発売を5月に延期することで合意しました)
- Kenji will follow up with the vendor by Friday.(ケンジさんが金曜までに業者へ確認します)
- I’ll send out the notes today.(本日中に議事メモを送ります)
- Thanks, everyone.(皆さん、ありがとうございました)
2つ目の型が要点です。「誰が」「何を」「いつまでに」の3つを口に出して終わります。ここを言わずに解散すると、次の会議で同じ議論が始まります。
日本語から訳すと失敗する場所
- 「以上です」を That’s all. と言わない|素っ気なく響きます。That’s everything from me. や That covers it. が自然です。
- 沈黙を埋めようとしない|英語の会議では、考える間の沈黙は普通です。慌てて言葉を足すと、議論を止めてしまいます。
- 「一応」「とりあえず」に当たる語を探さない|For now. で足ります。あいまいな前置きは、英語では意味が伝わりません。
- 謝罪から入らない|My English is not good, but… は不要です。進行の妨げになります。
最後の1点は、日本語話者が最も多く踏むところです。司会に求められているのは英語の上手さではなく、時間内に結論を出すことです。
まとめ
- 進行の英語は、意見を言う英語とは別の型。7つの場面を押さえれば回る。
- 進行役は I ではなく Let’s・We で話す。
- 脱線は park / take offline で、否定せずに保留にする。
- 締めは「誰が・何を・いつまでに」。ここを言わずに解散しない。
発言に回れず相槌ばかりになってしまう、という手前の課題があるなら、英語会議で相槌ばかりになってしまう人のための4つの戦略を先に読んでください。
議論をつなぐ言い方をまとめて確認したい場合は、つなぎ言葉を使うだけで英語が伝わりやすくなる【Connectors一覧と例文】が使えます。
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