送信ボタンの前で、手が止まる。
本文は書けた。
でも、最初の一行が決まらない。
「Dear でいいのか」「いきなり用件でいいのか」
そこで5分溶かしていませんか?
書き出しが決まらないのは、英語力の問題ではありません。日本語のメールの型を、英語に訳そうとしているからです。
英語のビジネスメールには別の型があります。覚えてしまえば、迷う時間はゼロになります。
まず、日本語の型を捨てる
日本語のメールは、宛名・挨拶・名乗り・前置きを置いてから用件に入ります。英語はこの手順を取りません。
宛名のあと、すぐ用件です。
「お世話になっております」に当たる決まり文句はありません。無理に訳すと、かえって回りくどくなります。
社内であれば、宛名すら省いて本文から始まることもあります。日本語の感覚では失礼に見えますが、英語では普通です。
書き出し|相手との距離で3段階
迷ったら、相手との距離で選びます。
| 相手 | 書き出し | 使う場面 |
| 初対面・社外・目上 | Dear Mr. Tanaka, Dear Ms. Smith, |
提案、問い合わせ、正式な依頼 |
| 面識あり・社外 | Hello Kenji, Hi Sarah, |
やり取りが続いている相手 |
| 社内・同僚 | Hi team, (宛名なしで本文から) |
日常のやり取り |
名前が分からないときは To whom it may concern, が使えます。ただし硬く、事務的な響きになります。担当部署が分かるなら Dear Customer Support Team, のほうが自然です。
Dear のあとはコンマです。コロン(:)は米国の正式な文書で使われますが、日常のメールではコンマで足ります。
2行目でつまずかないために
宛名の次に置ける一文を、目的別に持っておくと手が止まりません。
- 用件から入る|I’m writing to ask about the delivery schedule.(納期についてお伺いしたく連絡しました)
- 返信する|Thank you for your email.(メールをありがとうございます)
- 間が空いた相手へ|I hope you’re doing well.(お元気でお過ごしでしょうか)
- 紹介された|I got your contact from Mr. Sato.(佐藤さんからご連絡先を伺いました)
3つ目は日本語の時候の挨拶に近い働きをします。ただし毎回付けると形式的に見えます。やり取りが続いている相手には要りません。
締め|依頼の有無で決まる
締めも、用件の型で決まります。
- 返事がほしい|I look forward to hearing from you.(ご返信をお待ちしております)
- 相手に作業を頼んだ|Thank you for your help.(ご対応よろしくお願いします)
- 特に依頼がない|Thank you.(ありがとうございます)
- 急ぎで頼む|I’d appreciate it if you could reply by Friday.(金曜までにご返信いただけると助かります)
最後の型は覚えておくと効きます。期限を書かない依頼は、後回しにされます。「as soon as possible」より、日付を入れるほうが動いてもらえます。
結語(Best regards など)の選び方
本文の下に置く一語です。悩む必要はありません。
- Best regards,|社外・社内どちらでも使えます。迷ったらこれで問題ありません。
- Kind regards,|英国系でよく見ます。やや丁寧です。
- Thanks,|社内の短いやり取り向けです。
- Sincerely,|正式な文書向け。日常のメールでは硬すぎます。
日本語から訳すと失敗する場所
ここが、書き出しと締め以上に差が出るところです。
- 「お世話になっております」を訳さない|対応する表現がありません。そのまま用件に入ります。
- 「よろしくお願いします」も直訳しない|何を頼んでいるかで言い方が変わります。依頼なら Thank you for your help.、返信待ちなら I look forward to hearing from you. です。
- 「取り急ぎ」で始めない|英語では用件が先です。前置きを足すと、かえって読みにくくなります。
- Please を付ければ丁寧、ではない|Please send it by Friday. は命令に近く聞こえます。Could you send it by Friday? のほうが柔らかくなります。
最後の1点は、日本語話者が最も踏みやすい落とし穴です。丁寧さは単語ではなく、文の形で作ります。
返信が遅れたとき
実務で使う頻度が高いわりに、型を持っていない人が多い場面です。
- Sorry for the late reply.(返信が遅くなりすみません)
- Thank you for your patience.(お待ちいただきありがとうございます)
- Apologies for the delay in getting back to you.(ご返信が遅れ、失礼しました)
2つ目は謝罪の形を取らずに済むため、社外にも使いやすい言い方です。遅れた理由は、聞かれない限り書かなくて構いません。
まとめ
- 英語のメールは、宛名のあとすぐ用件。日本語の前置きを訳さない。
- 書き出しは相手との距離で3段階(Dear / Hello・Hi / 宛名なし)。
- 締めは依頼の有無で決まる。期限を書かない依頼は後回しにされる。
- 丁寧さは単語ではなく文の形で作る。Please より Could you。
型を覚えたら、次は書いたものを直してもらう段階です。文と文のつなぎ方に不安が残る場合は、つなぎ言葉を使うだけで英語が伝わりやすくなる【Connectors一覧と例文】を先に読んでください。
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