Web会議中、相手の言葉が半分しか聞き取れない。
もう一度お願いします、と言う。
返ってきたのは、同じ速さの同じ文だった。
3回目は、さすがに聞けない。
「……Yes.」
心当たりはありませんか?
聞き返しても解決しないのは、英語力の問題ではありません。何が聞こえなかったかを、相手に伝えていないからです。
「もう一度」としか言わなければ、相手は同じことを同じ速さで繰り返します。どこが分からなかったかを言えば、そこだけ言い直してくれます。
聞き返しは3種類ある
まず、自分が今どれなのかを切り分けます。
| 状況 | 言うこと | 相手の反応 |
| ① 全体が聞こえなかった | Sorry, could you say that again? | もう一度言う |
| ② 一部が分からなかった | Sorry, I missed the last part. | その部分だけ言い直す |
| ③ 聞こえたが意味が取れない | Just to confirm, you mean the March deadline? | 言い換えて説明する |
②と③を使えるようになると、聞き返しの回数が減ります。①だけを繰り返している限り、会話は同じ場所で止まります。
① 全体が聞こえなかったとき
音が届かなかった、速すぎた、という段階です。
- Sorry, could you say that again?(もう一度お願いできますか)
- I didn’t catch that.(聞き取れませんでした)
- Could you repeat that, please?(繰り返していただけますか)
Pardon? も通じますが、これだけでは「何が」聞こえなかったかが相手に伝わりません。結果、同じ速さで同じ文が返ってきます。
速度そのものが原因なら、そう言ってしまうほうが早いです。
- Could you speak a little more slowly?(もう少しゆっくり話していただけますか)
- Sorry, could you slow down a bit?(少しゆっくりお願いできますか)
② 一部が分からなかったとき
ここが最も使う場面で、最も効きます。聞こえた部分を口に出すのがコツです。
- I missed the last part.(最後のところが聞き取れませんでした)
- Sorry, after “the budget”?(「予算」のあと、何とおっしゃいましたか)
- What do you mean by “onboarding”?(onboarding とはどういう意味でしょうか)
- Could you spell that?(つづりを教えていただけますか)
2つ目の型が強力です。聞こえたところまでを言えば、相手はその続きだけを言い直します。会話が最初から巻き戻りません。
4つ目は固有名詞のときに使います。人名・会社名・製品名は、何度聞いても音では取れないことがあります。
数字は、別枠で確認する
実務で最も事故が多いのが数字です。
- Was that fifteen or fifty?(15ですか、50ですか)
- Sorry, thirteen or thirty?(13ですか、30ですか)
- So that’s the 15th, one-five?(15日、いち・ごですね)
-teen と -ty は、ネイティブ同士でも聞き返します。確認するのは失礼ではなく、当然の手順です。
③ 聞こえたが、意味が取れないとき
音は届いている。単語も分かる。でも何を求められているか分からない、という状態です。
- Just to confirm, you mean the March deadline?(確認ですが、3月の期限のことですね)
- So you’re saying we should postpone it, right?(つまり延期すべきということですね)
- Let me make sure I understand.(理解が合っているか確認させてください)
- Could you give me an example?(例を挙げていただけますか)
この型には副産物があります。自分の理解を口に出すので、間違っていればその場で直してもらえます。聞き返しであると同時に、認識合わせになります。
Web会議で使う、回線と音声の頼み方
対面では要らないのに、オンラインでは毎回必要になる言い方です。
- You’re breaking up.(音声が途切れています)
- Sorry, I lost you for a second.(少し聞こえませんでした)
- Could you turn up your mic?(マイクの音量を上げていただけますか)
- Could you put that in the chat?(チャットに書いていただけますか)
最後の一文が、実務では最も役に立ちます。固有名詞・数字・URLは、音で取ろうとせずチャットに回すのが確実です。相手にとっても手間が少なく、記録も残ります。
やってはいけないこと
- 分からないまま Yes と言わない|その場は流れますが、あとで食い違いが出ます。手戻りのほうが高くつきます。
- Pardon? を繰り返さない|丁寧ですが情報がありません。2回目からは②か③に切り替えます。
- 英語力を謝らない|My English is not good, so… は不要です。聞き返しは会議参加者の正当な行為です。
- 黙って推測しない|聞き取れなかった箇所を想像で埋めると、間違ったまま話が進みます。
3つ目は多くの人がやってしまいます。聞き返す行為そのものは、能力不足の表明ではありません。ネイティブ同士でも同じ頻度で起きています。
聞き返しても解決しないなら
ここまでの型を使っても毎回聞き取れない場合、原因は聞き返し方ではありません。
スクリプトを開いてみてください。文字なら全部分かるのに音になると分からないなら、音を認識する処理の問題です。知らない単語が並んでいるなら、語彙の問題です。
切り分け方はリスニングが伸びないときに変えるべきものにまとめています。原因が違えば、打つ手も変わります。
まとめ
- 聞き返しは3種類。全体・一部・意味に分けると、相手の返し方が変わる。
- 「もう一度」だけでは、同じ速さで同じ文が返ってくる。
- 聞こえたところまでを口に出すと、続きだけを言い直してもらえる。
- 固有名詞・数字はチャットに回す。音で取ろうとしない。
- 聞き返しは正当な行為。英語力を謝る必要はない。
聞き返したあと、会話に戻って発言に回るところまで含めて整えたい場合は、英語会議で相槌ばかりになってしまう人のための4つの戦略が使えます。
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