語彙は、単体では機能しません。知っている語の数を増やしても、文法・発音・場面とつながっていなければ、会話では出てきません。
単語帳を1冊終える。
覚えた実感はある。
なのに、会議では相変わらず同じ言い回ししか出ない。
「まだ語彙が足りないのかな」と、次の1冊を買う。
足りないのは数ではありません。覚えた語が、使うための形になっていないだけです。
語彙とは何か
語彙とは、意味を知っている語の集まりではありません。必要なときに取り出せる語の集まりです。
だから語彙力は、覚えた数ではなく「取り出せた数」で測ります。
見て意味が分かる語を「受容語彙」、自分から使える語を「産出語彙」と呼びます。この2つは、たいてい2倍以上の差があります。単語帳が増えても会話が変わらないのは、増えているのが受容語彙のほうだからです。
語彙は3つの方向とつながる
一覧で示します。
| つながる先 | どうつながるか | 切れているときのサイン |
| 文法 | 語だけ覚えても、文の形が決まらなければ出てこない | 語は浮かぶのに、その語を使った文が作れない |
| 発音 | 文字で覚えた語は、音と結びついていないと聞き取れない | 知っている語なのに、聞くと分からない |
| 場面 | 使う場所から選ぶと、覚えた語がその週に1回は使える | 覚えた語を、使う機会がないまま忘れる |
使える語に変えるには、3つの方向へつなげます。
① 文法とつながる|型に載せる
語だけを覚えても、文の形が決まらなければ出てきません。
“consider” を覚えても、”We’re considering ~ing” という形とセットで持っていなければ、会話では使えない状態です。
覚える単位を、単語からかたまりへ変えます。やり方は英語の語順が崩れがちな人へ:チャンク記憶でロックする方法に、載せる骨組みは英語5文型|ビジネスで使う骨組み。「うーん」を止めて言葉を走らせる完全ガイドにあります。
② 発音とつながる|音で覚える
文字で覚えた語は、聞いても分かりません。音が結びついていないためです。
自分で言えない語は、聞き取れないと考えるのが安全です。覚えるときに、必ず音をセットにしましょう。
なぜそうなるのかは「読めばわかるのに聞き取れない」大人のためのリスニング「音声知覚」3ステップで扱っています。
③ 場面とつながる|使う場所から選ぶ
一般的な頻出語をいくら覚えても、自分の会議で出てくる語とは限りません。
自分が実際に使う場面から選ぶと、覚えた語がその週のうちに1回は使えます。使った語は残ります。
仕事で頻度の高い語の例は句動詞「Bring」コアイメージとビジネスでよく使う30選【動画・例文・Anki用CSVあり】や「フリーアドレス」は英語で何と言う?|hot desking と、通じないオフィス用語にまとまっています。
読む順番
次の順で読むと、語彙の増やし方がひととおり決まります。
- 英語の語彙2,000→4,000:コロケーションで倍速増強する方法|まず増やし方を変える。単語からつながりへ。
- 英語の語順が崩れがちな人へ:チャンク記憶でロックする方法|覚えたつながりを、語順ごと口に入れる。
- イラスト多読で語彙は増えるのか|1日5分から始める人の教材の選び方|読む量から増やす別ルート。伸びるものと伸びないものを先に知る。
- 瞬間英作文の効果的なやり方|会話で出てこない人がやっている3つの間違い|覚えた語を、取り出せる速さにする。
4番目を飛ばすと、受容語彙が増えるだけで終わります。
よくある質問
語彙が増えたかは、どうやって確かめますか
覚えた数ではなく、使えた数で確かめます。毎週、意識的に新しい語を実際に口に出していきましょう。
その週に新しい語を使った数がゼロなら、増えているのは受容語彙だけです。
単語帳とアプリ、どちらがいいですか
どちらでも構いません。受容語彙を増やす道具としては同じです。
差が出るのはそのあとに口へ出す工程を持っているかどうかです。
多読と単語帳は、どちらを優先しますか
目的が違います。単語帳は狙った語を短時間で入れる道具、多読は文脈ごと定着させる道具です。
会議で使う語を急いで揃えるなら単語帳、土台を広げるなら多読です。
次にやること
今日やることは1つです。これから覚える語を、単語ではなく2〜3語のかたまりで書き留めてください。
“decision” ではなく “make a decision” として持つ。それだけで、文にするときの迷いが減ります。
学習全体のどこに語彙を置くかは、英語勉強法は「順番」が9割。SLAが導く大人のための4ステップで確認できます。
