中級(B1)から中上級(B2)へ|「言えるのに伝わらない」の正体

英語学習ロードマップ

「質問されれば答えられるけど、なぜ議論に入れないんだろう」
そう思ったことはありませんか?

原因は英語力の不足ではありません。事実を並べているだけで、意見の形になっていないからです。

中級(B1)から中上級(B2)への移行は、話せる量を増やす作業ではなく、話の形を変える作業です。ここでは、その差と手当てを整理します。

中級(B1)と中上級(B2)の差は、3つしかない

どちらも「話はできる」段階です。行動で見ると、差はここに出ます。

  • 抽象度|B1は自分の経験を語れる。B2は経験から一般化した話ができる。
  • 確度と立場|B1は事実を述べる。B2は「確実か、可能性か、提案か」を言い分けられる。
  • 構造|B1は思いついた順に話す。B2は結論・理由・条件の順で組み立てられる。

語彙も文法も、B1の時点でだいたい足りています。足りないのは、持っているものの並べ方です。

だから、この区間で単語帳や文法書に戻っても進みません。

手当て1|結論を先に置く

B1の発話は、経緯から始まりがちです。日本語の順番のまま英語にすると、そうなります。

“Last week we had a meeting, and then I checked with the team, and…”

聞き手は、最初の1文で「何の話か」を決めます。結論が最後に来ると、それまでの説明は宙に浮きます。

結論を1文にして、先に置きます。そのあとに理由の数を宣言する。”We should postpone the launch. There are two reasons.”

この並べ替えだけで、同じ内容が意見として扱われるようになります。詳しくは英語的思考での話し方とは|結論を先に、理由はあとで決めるにまとめました。

手当て2|確度と立場を言い分ける

B1では、断定か沈黙かの2択になりがちです。自信がないので黙る、という形です。

B2は、確度を言葉で刻めます。

  • 確実|”This will delay the release.”
  • 可能性|”This might delay the release.”
  • 提案|”I’d suggest we push the date.”
  • 留保|”I’m not sure yet, but my sense is that…”

使うのは法助動詞と、それに近い言い回しです。断定できないことを、断定せずに言えるかどうかが分かれ目になります。

これができると、確信が持てない話題でも発言できます。発言量そのものが増えます。整理は法助動詞(Modal Verb)の種類と使い方、ニュアンスの違いにあります。

手当て3|譲歩と条件で、話に幅を作る

B2の議論では、相手の意見を否定せずに自分の立場を置く場面が増えます。

“That’s a fair point, but in our case the timeline is fixed.”
“If we get the budget, we can start in April. Otherwise, it slips to June.”

譲歩(but / although / that said)と条件(if / unless / as long as)です。この2つが入ると、話が単なる主張から、検討に耐える意見になります。

使うつなぎ言葉は多くありません。つなぎ言葉を使うだけで英語が伝わりやすくなる【Connectors一覧と例文】から、まず譲歩と条件だけを取り出して覚えてください。

どのくらいかかるのか

B1からB2へ進む追加の学習時間は、Pearsonの推計では約400〜1,100時間と幅があります。授業や演習に取り組む能動的な学習時間で、日本語話者が独学で必ず到達する時間ではありません。

この区間では、新しく覚えることに加えて、持っている知識を意見として組み立てて使う練習も必要です。時間だけでは、会議での発言がどう変わったかは見えません。

時間の記録と一緒に、会議やレッスンで自分の発言が相手に拾われ、話が続いたかも確かめてください。回数だけでB2到達は判断できませんが、練習を見直す材料になります。

ほかのレベルの学習時間と数え方は英語習得に必要な時間の目安にまとまっています。

この段階の目安(TOEIC・英検)

スコアでの位置も添えておきます。日本の学習者は、CEFRよりTOEICや英検で自分を認識していることが多いためです。

中級(B1)は、英検2級の合格スコアがこの帯に入ります。TOEIC Listening & Reading では550点が最低ラインです。

中上級(B2)は、英検なら準1級。TOEIC L&R では785点(Listening 400/Reading 385)がETSの示す最低スコアになります。

この区間は、TOEIC L&R でいえば550点から785点までにあたります。

ただしETSは、合計スコア1つで判断するよりListeningとReadingを別々にCEFRで見るほうが正確だと明記しています。合計785点でも、Listeningが300点台なら聞く力は中上級に届いていません。

そして話す力は、TOEIC L&Rには1点も入っていません。この記事で扱っている「意見の形にする力」は、スコアには表れない部分です。

スコアとの対応を一覧で見たい場合は、CEFR・TOEIC・英検の換算表|同じ「B2」でも中身が違う理由にまとめてあります。

中上級(B2)に入った合図

次の3つがそろえば、B2の入り口です。

  • 準備していない話題でも、結論から話し始められる
  • 賛成でも反対でもない立場を、言葉にできる
  • 自分の発言に対する反論に、その場で応じられる

3つ目が実務では最も重い部分です。B2は「話せる」ではなく「議論に参加できる」水準だと考えてください。

なお、B2は海外駐在者の平均的な発話水準とも言われます。ここが実務で困らなくなる最初のラインです。

まとめ|中級(B1)の壁は、英語力ではなく話の形

  • 差は3つ。抽象度・確度と立場・構造。語彙と文法はB1で足りている。
  • 結論を先に置き、理由の数を宣言する。並べ替えだけで意見になる。
  • 確度を刻む。断定できないことを、断定せずに言えるようにする。
  • 譲歩と条件で幅を作る。単なる主張から、検討に耐える意見へ。
  • 時間の目安には幅がある。発言が会話の中でどう使われたかも確かめる。

話す場をどう確保するかまで含めて設計したい場合は、ビジネス英語向けオンライン英会話の比較6社|「特化型」と「大手」の差は何なのかで、目的別の選び方を整理しています。

いま自分がどの段階にいるかを確認したい場合は、英語学習ロードマップ|いま自分がどの段階にいるかを先に決めるを先に読んでください。

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