英語学習ロードマップ|いま自分がどの段階にいるかを先に決める

英語学習ロードマップ

本棚に、途中でやめた教材が並んでいる。

単語帳、文法書、シャドーイングの本。
どれも最初の30ページだけ手垢がついている。

新しい教材を買うたび、少しだけ前に進んだ気がする。

「結局、いま何をやればいいんだろう」

進まないのは、教材が悪いからではありません。いま自分がどの段階にいるかを、決めていないからです。

段階が決まれば、やることは1つに絞れます。この記事は、その判定をするための地図です。

なぜ順番が要るのか

英語の練習は、積み上げの順序で効き方が変わります。

音が聞き取れない段階で会話練習を増やしても、聞き返しと愛想笑いの回数が増えるだけです。逆に、型が出てくる段階まで来た人が単語帳に戻っても、伸びは止まります。

同じ練習でも、やる段階が違えば効果は変わります。この順序については英語勉強法は「順番」が9割。SLAが導く大人のための4ステップで、第二言語習得の観点から詳しく扱っています。

ここではその順序を、「いま自分がどこにいるか」を判定できる形に置き直します。

4つの段階|自分がどこにいるかを決める

症状から逆算してください。当てはまるものが、いまの段階です。

段階 こういう状態 やること 次へ進む目安
① 音 スクリプトを見れば全部わかるのに、音になると別物に聞こえる 音声知覚の訓練 知っている語が、音でも拾えるようになる
② 型と語彙 聞き取れる。でも言いたいことが文の形にならない 文型・つなぎ言葉・語彙の補強 時間をかければ、言いたいことを書ける
③ 速度 書けば書ける。でも会話の速さでは出てこない 出す練習(発話の自動化) 考えずに出る型が増える
④ 場 出てくる。でも相手の反応が薄い、噛み合わない 場面ごとの言い方を直す 目的の場面で困らなくなる

迷ったら①から確認してください。多くの人が②や③にいると思い込んで、実際は①で止まっています。

もう1つの地図|6つのレベル帯

ここまでの4つの段階は「何をやるか」の地図です。これとは別に、「いまどこまで来ているか」を表す地図があります。

それがレベル帯です。CEFRという国際的な指標をもとに、6つに分かれます。

2つは別の軸です。中級(B1)まで来ている人が、段階①(音)で止まっていることは普通に起こります。到達度が上がっても、抜けた工程は抜けたまま残るからです。

レベル帯 できること 止まるところ 次に伸ばす力
初心者(A0) 知っている単語を並べれば伝えられる 文の形が作れない 文の骨組み
初級(A1) 自己紹介ができる。短い文なら分かる 相手の返事が受け取れない 聞き返す力
初中級(A2) 決まった場面のやりとりが最後まで完結する 準備していない話題だと1文で終わる 文をつなぐ力
中級(B1) 準備なしで3文以上続けられる 話は続くが、意見として扱われない 話の順番
中上級(B2) 会議で議論に参加できる 断定と保留の間など、細かい調整が効かない 確度と立場の言い分け
上級(C1+) 場に合わせて言い方を変えられる 速い会話や文化的な前提で輪に入るのが遅れる 場に合わせる力

レベル帯の名前から、その段階の記事へ移れます。

段階のほうは、次にやる練習を1つに絞るために使います。レベル帯のほうは、教材や講座を選ぶときと、自分の英語力を人に説明するときに使います。

自分がどのレベル帯にいるかは、テストを受けなくても行動から決められます。判定は英語レベルの簡易診断|テストを受けずに、いまの段階を決めるで5分です(あちらでは、このレベル帯を「6つの段階」と呼んでいます)。

TOEICや英検のスコアを持っている場合は、CEFR・TOEIC・英検の換算表|同じ「B2」でも中身が違う理由でレベル帯に読み替えられます。

段階①|音を認識できるようにする

判定は単純です。スクリプトを開いて、知らない単語があるかどうか。

全部知っている語なのに聞き取れないなら、原因は語彙ではなく音の認識です。文字と音が結びついていない状態で、ここは訓練で自動化できます。

仕組みと手順は「読めばわかるのに聞き取れない」大人のためのリスニング「音声知覚」3ステップにまとめています。

この段階でやることは3つです。

どちらを先にやるか迷う場合は、シャドーイングvsディクテーションで目的別に分けています。

音そのものが作れていない自覚があるなら、大人がフォニックスをやり直す理由から入るのが早道です。

段階②|型と語彙を入れる

聞き取れるようになると、次は出す側で詰まります。言いたいことはあるのに、文の形にならない状態です。

ここで単語だけを増やしても、文にはなりません。必要なのは、文を組み立てる骨格のほうです。

この段階の目安は、時間をかければ言いたいことを書ける、という状態です。書けないものは、話せません。

段階③|出す速度を上げる

書けるのに会話では出てこない。ここが最も長く感じる段階です。

原因は知識ではなく、処理の速さにあります。知っていることと、瞬時に出せることは別の能力です。

やることは、相手なしでできる練習です。

この2つは、人を相手にする前にやっておくと効率が変わります。話す機会を増やすより先に、出す回路を作る段階です。

段階④|場に合わせる

出てくるようになると、次は「通じるが、伝わらない」に変わります。

内容は届いているのに反応が薄い。この段階の原因は英語そのものではなく、伝え方の前提が日本語のままであることが多いです。詳しくは日本語と英語の決定的な違い「ハイコンテクスト」vs「ローコンテクスト」で扱っています。

ここからは場面ごとに直していきます。

この段階では、直してくれる相手がいるかどうかで進み方が変わります。相手の選び方はビジネス英語向けオンライン英会話の比較6社で整理しています。

やってはいけない飛ばし方

段階を飛ばすと、時間の大半が無駄になります。よくある3つを挙げます。

・①を飛ばして会話練習に行く
 → 聞き返しと愛想笑いが増えるだけです。音が処理できない状態では、会話は練習になりません
・②を飛ばして speaking の量を増やす
 → 出す材料がありません。同じ表現だけが強化されます
・③を飛ばして本番に出る
 → 沈黙の時間が長くなり、自信を失って戻ってきます

いちばん多いのは1つ目です。自分は②や③にいると思っている人の多くが、実際は①で止まっています。判断がつかない場合は、リスニングが伸びないときの独学・サービス選びで、どんな助けが欲しいかを整理してみてください。

どのくらい時間がかかるのか

段階の話をすると、必ず出てくる疑問です。

目標とするレベルによって必要な学習時間は変わります。目安は英語を習得するのに必要な時間は?目指すレベル別に学習時間と学習方法を解説にまとめました。

フランス語をゼロから積み上げた記録は、英語をゼロから独学する順番|フランス語4カ月の実録から考えるが参考になります。

独学でどこまで行けるのか、どこから人の手が要るのかは英語の独学はどこで限界が来るのかで線を引いています。

まとめ|地図の目的は、やることを1つに絞ること

  • 進まないのは教材のせいではなく、いまどの段階にいるかを決めていないから。
  • 段階は4つ。音 → 型と語彙 → 速度 → 場。
  • 迷ったら①から確認する。②③にいると思っている人の多くが①で止まっている。
  • 段階が決まれば、やることは1つに絞れる。

教材を増やす前に、自分がどこにいるかを決めてください。やることが1つに絞れた時点で、進み方は変わります。


年代ごとに、つまずく場所は少し変わります。最初の1週間で何をやるかは40代から英語を始めるなら、何からやるか|大人だからこそ速い定着手順、覚えたそばから抜けていく感覚があるなら50代から英語を始める人へ|記憶力ではなく、覚え方が違うだけですで、それぞれ扱っています。

いまの段階を、行動から5分で決めたい場合は英語レベルの簡易診断|テストを受けずに、いまの段階を決めるを使ってください。テストのスコアがなくても判定できます。

学習を続けているのに伸びが分からないときは、英語学習の停滞期を抜け出す方法で、以前と今を比べる課題の決め方と、練習を見直す順番を確認できます。

段階が決まっても、次にやることが1つに絞れない場合は、レベル・課題・目的の順で決めていきましょう。手順は英語で何を勉強すればいいかわからない|レベル・課題・目的の順で決めるにまとめました。

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