「初心者向け」の教材は簡単なのに、「中級」と書かれた教材は急に難しく感じます。そんなとき、自分の英語レベルを一つの言葉で決めようとすると、かえって教材を選びにくくなります。読める文章と、会話で自分から言えることが同じとは限らないからです。
ここで行うのは、テストの代わりにCEFRのレベルを確定する診断ではありません。聞く・読む・話す・書くを分けて今できることを見て、次に使う教材や練習を選ぶための自己チェックです。
まず、4つの技能を別々に見ます
例えば、仕事の簡単なメールは読めても、同じ内容を会議で説明しようとすると言葉が出てこないことがあります。この人を「中級」か「初級」かの一語で表すより、読むことと話すことで何が違うかを見たほうが、次の練習を選びやすくなります。
身近な話題を一つ決め、最近実際に使った英語か、今使おうとしている教材で次を試してみてください。たとえば、自分の仕事や週末の予定で構いません。
- 聞く:その話題の短い音声を聞き、要点をつかめるか
- 読む:短いメールや説明を読み、要点をつかめるか
- 話す:自分の経験や予定を声に出して説明できるか。相手がいる場合は質問に応じられるか
- 書く:その話題について短い返信を書き、相手に必要な情報を伝えられるか
「できた・できない」だけでなく、どこで止まったかも一言残します。音声の単語は分かったが要点を追えなかった、内容は浮かんだが英語にできなかった、といった記録です。一度の課題だけでレベルを決めず、話題や素材を変えて確かめると、たまたま知っていた単語に左右されにくくなります。
CEFRのA1〜C2は、何を表す目安か
CEFRは、言語で何ができるかを技能や活動ごとに記述する共通の枠組みです。欧州評議会の基本の6段階はA1、A2、B1、B2、C1、C2。以下は全技能を一つにまとめた判定条件ではなく、欧州評議会のCEFR記述から、段階の違いをつかむための要約です。
- 初級(A1):身近な表現を使い、自分のことを紹介したり、助けを得ながら簡単な質問と答えを交わしたりする
- 初中級(A2):身近で日常的な用件について、簡単で直接的な情報のやりとりをする
- 中級(B1):仕事や余暇など身近な話題の要点を理解し、経験や考えをつなげて伝える
- 中上級(B2):複雑な話題の要点を捉え、ある程度自然なやりとりの中で自分の見解を説明する
- 上級(C1):長く難しい文章の含意を読み取り、社会的・仕事上の目的に合わせて柔軟に表現する
- 熟達(C2):ほぼあらゆる種類の文章を理解し、複雑な場面でも意味の細かな違いを正確に表す
仮の現在地を知りたいときは、欧州評議会の資料にある技能別の自己評価グリッドと、先ほどの記録を照らします。「読むはB1の記述に近いが、話すはA2の記述に近い」というように、技能ごとに書いて構いません。表現が当てはまらなければ、無理に段階を一つ選ぶ必要もありません。
「初心者(A0)」はCEFRの基本の6段階には入りません。A1より前の行動を表す記述には「Pre-A1」という名称が使われます。また、A2でも短い文をつないだり、簡単な理由を述べたりできます。「理由を言えたらB1」「3文話せたらB1」とは判定しません。A1とA2の違い、A2とB1の違いは、それぞれ別の記事で具体的に整理しています。
自己チェックから、次の教材を選ぶ
4技能の結果がそろわなくても、無理に平均して一つのレベル名へまとめる必要はありません。次に英語を使う場面を決め、その場面で止まったところを先に扱います。会議で相手の要点を取れないなら聞く練習を、内容は分かるのに自分の説明が続かないなら話す練習を選ぶ、という具合です。
教材の「初級」「中級」という表示で迷ったら、候補の一部を実際に試してみます。分かるところを足場に新しい内容へ進めるか、説明を読んでも手が止まるか。後者なら、少し前の内容へ戻って必要な部分を補ってから、また試せます。低い段階を選べば必ず早く上がる、という話ではありません。
聞き取りで止まる場所を詳しく分けたい場合はリスニングで聞き取れない原因の切り分けへ。学習全体の順番を見たい場合は英語学習ロードマップへ進めます。今の仕事に必要な技能から選んでください。
テストやスコアは、いつ使う?
自己チェックは、学習の入口を決めるための材料です。資格や応募条件としてレベルを示す必要がある場合は、目的に合う試験の結果を確認します。試験を探すときは、無料で試せる英語レベルチェックも参考にできます。ただし、何を測るテストかはそれぞれ異なります。
TOEIC Listening & Readingは、聞く力と読む力の試験です。合計点だけから話す力や書く力を決めず、必要な技能は別に確かめます。CEFRの自己評価も、公式の技能別記述と照らして現在地を考える手がかりであり、このページの短い課題だけで認定するものではありません。
次の段階までの時間が気になる場合、Pearsonの推計ではA2からB1に追加で約200〜600時間、B1からB2に追加で約400〜1,100時間と幅があります。授業や演習に取り組む時間の参考値で、日本語話者の独学での到達時期を保証するものではありません。学習時間の目安と数え方も、今の練習を組む際の参考にしてください。
まとめ|一つのラベルより、次に使う力を見る
読むのは進められるのに、話す場面で止まる。そんな違いが見つかったなら、自己チェックは役立っています。全体を一つのレベル名に押し込むより、次に英語を使う場面と、そこで困る技能を結びつけてみてください。教材を選ぶときも、肩書きのような「中級」ではなく、いま試して進められる内容から選べます。

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